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日本初・最大級の150億円規模セカンダリーの舞台裏──Coral Capital・SmartHR・Nstockが語る「流動性の壁」と新たな選択肢

Coral Capital 創業パートナー兼CEO / James Riney

SmartHR 取締役CFO / 森 雄志

Coral Capital Head of DPI / 石川 亮太朗

2025年11月18日、独立系VCであるCoral Capitalが米国大手投資会社General Atlantic(以下、GA)へ、保有していたSmartHR社の株式のうち半分をセカンダリー取引によって売却したことを発表しました。その金額は、日本でのセカンダリー取引では過去最大規模となる約150億円!

なぜ、SmartHR株の半分をセカンダリー取引で売却したのか? GAとはどのような交渉があったのか?

この発表にあわせて開催されたCoral School「SmartHRとNstockに聞くセカンダリー取引のリアル」の収録では、Coral Capitalの創業パートナーCEOのJames RineyさんとHead of DPIである石川亮太朗さん、SmartHRのCFOである森雄志さん、Nstock代表でSmartHRの創業者でもある宮田昇始が登壇。これまでを振り返りつつ、GAとのセカンダリー取引の舞台裏を明かしました。今回のStock Journalでは、当日の内容をお届けします。

※この記事では、イベント内容に編集を加えています。

James Riney(ジェームズ・ライニー) Coral Capital 創業パートナー兼CEO
2019年にCoral Capitalを創業し、現在は600億円の資産を運用中。VC以前は、STORYS.JP運営会社ResuPress(現Coincheck)の共同創業者兼CEOを務めていた。その後、DeNAで東南アジアとシリコンバレーを中心にグローバル投資に従事。2015年に500 Startups Japanを立ち上げ、代表兼マネージングパートナーに就任。2016年にForbes Asia 30 Under 30 の「ファイナンス & ベンチャーキャピタル」部門で選ばれている。趣味はスノーボード、ダイビング。また、焼き鳥通でもある。

森 雄志(もり・ゆうじ) SmartHR 取締役CFO
2016年に楽天株式会社(現楽天グループ株式会社)へ入社。IR部に所属し、国内外の投資家面談や決算関連業務、株主総会対応、M&A、資金調達など、IRを中心に幅広いコーポレートアクション業務に携わる。2020年3月に株式会社SmartHRに入社。海外投資家対応をはじめ、資金調達や資本政策などの財務戦略の策定を担当している。

石川 亮太朗(いしかわ・りょうたろう) Coral Capital Head of DPI
2008年にリクルートへ新卒入社。経営企画・CVC・投資マネジメント業務など、事業と投資の両面にまたがる領域に約10年間従事したのち、HEC Paris MBA を修了。2021年にCoral Capital参画。Coral Capitalでは、新規投資のソーシング、オペレーション全般、ポートフォリオマネジメントなど投資業務全般を担当。その後、Divestment活動に専念し、Head of DPIとしてファンドのリターン責任を担う立場に就任。投資先企業の価値創造と成長に配慮しながら、リターンの最大化・最適化を実現する戦略立案と実行をリードしている。

宮田 昇始(みやた・しょうじ) Nstockホールディングス 代表取締役CEO
2013年に友人と起業。2年間で10回以上の失敗を経て、2015年に人事労務クラウド「SmartHR」を公開。2021年には海外投資家などから156億円を調達し、ユニコーン企業に成長。2022年にSmartHRの代表を交代し、自身が感じたスタートアップエコシステムの課題を解決するための新会社「Nstock株式会社」を設立。2025年には「Nstockホールディングス株式会社」に社名変更、グループ経営体制へ移行。

「SmartHRに投資できない!?」という危機を英語で乗り越えた話

石川 亮太朗(以下、石川):今回のCoral Schoolでは、私石川がモデレーターを務めさせていただきます。さっそくですが、SmartHRに投資した背景から聞かせてください。

James Riney(以下、James):初めてSmartHRへ投資したのは2016年のシリーズAでした。でも、実は言うと投資できないところだったんです。

Coral Capital 創業パートナー兼CEO のJames Rineyさん

当時のCoral Capital(このときは500 Startups Japan)はまだファンドを組成できていませんでした。そんななか、Tech In Asia Tokyo 2015というスタートアップ向けイベントで宮田さんと出会いました。しかし、当時はまだSaaSという単語自体が一般化していなくて……。

宮田 昇始(以下、宮田):そうでしたね。Jamesと初めて会ったときはまだサービスをローンチしておらず、プレゼン資料だけで投資家のところを回っていました。そのときは、SaaSという言葉は日本では主流ではなく「クラウド型ソフトウェア」といった表現でサービス内容を説明していましたね。

Tech In Asia Tokyo 2015で初めて会った後、Jamesや澤山さん(Coral Capital創業パートナー、澤山陽平さん)と再会したのはスタートアップ向けの招待制カンファレンス「B Dash Camp 2016」でした。Coral Capitalの前身である500 Startups Japanのパーカーを着ている2人を見かけて「かっこいいね」といいながら2ショット写真を撮ってあげたことを覚えています。

James:僕は宮田さんと初めて会ったときから「すごい人だ」と思っていたので、SmartHRには絶対に投資するつもりでした。B Dash Camp 2016で会ったときにはファンドも組成できていたのでさっそく投資の話を持ちかけたのですが、宮田さんには「まだ調達はしませんよ」とクールな感じでフラれてしまいまして。

そして数ヶ月後、「SmartHRが調達に動いている」という噂を聞きつけて宮田さんに電話をしました。ただ、すでに遅かったんですよね。

宮田:そうなんです、最初の電話ではお断りさせてもらいました。シリーズAではVCだけでなくエンジェル投資家の方にも入ってもらいたかったので、リード投資家であるWiLさんに「これ以上は下げたくない」というギリギリまで出資比率を下げてもらっている状態でした。Coral Capitalが入る隙間がなかったんですよね。

そのため、Jamesには「今回はごめんね」と伝えていたのですが、そのあと何回も電話がかかってきて。断るのが面倒になってきたので「じゃあ、WiLの難波さん(WiL パートナーの難波俊充さん)がOKと言ったらいいよ」と伝えたら、難波さんが「Jamesも仲間に入れましょう」と口説かれてしまいまして(笑)。

Nstockホールディングス 代表取締役CEOの宮田 昇始

あとから知ったことなのですが、Jamesはすべて英語で交渉していたため、難波さんは「Jamesは英語しか話せない」と思っていたそうです。プレスリリースの撮影で2人が初めて対面したとき、難波さんは「え、Jamesは日本語を話せるの!?」「英語しか話せないと思っていたのに」と大変驚いていました(笑)。笑いながら「こういうアグレッシブな人が仲間にいると心強いので、投資してもらって正解だったかも」と、僕と難波さんは話していましたね。これは、Jamesの作戦だったんですよね?

James:作戦でした(笑)。このときは今ほど日本語を話せなかったので、英語のほうが説得できると思っていました。作戦がうまくいき、SmartHRへ投資できてよかったです。

その翌年、Coral CapitalはSmartHRにSPV(Special Purpose Vehicle、特別目的事業体)というスキームを提案しました。Coral Capitalとしては10〜20%と大きく投資したいけれど、まだ実績が少なく、LPからの信頼もそこまでありませんでした。そんなときに、米国ではクリストファー・サッカというVCがSPVを活用してTwitter(現X)にオールインして大成功したという話を耳にしたのです。宮田さんにSPVを提案し「シリーズBは動かないでください!この2ヶ月間で僕たちが資金を集めてきますから」という約束をして、資金を集めました。

宮田:面白かったのは、Jamesから空欄のタームシートが送られてきて「(バリュエーションの欄に)好きな金額を書いていいよ」と言われたことです。けっこう強気に「60億円」と書いたのですが、Jamesは「宮田さんは常識的だからそれぐらいに落ち着いた数字を出してくると思った」と言ってくれました(笑)。

しかしJamesは「さすがに高すぎる」と周りから言われていたらしいのです。それでも「ピーター・ティールがFacebookに投資したときも、高すぎると言われていた。今ではそれが高すぎたとは誰も思わない」「SmartHRにはユニコーン企業になるポテンシャルがある」と話してくれていたそうです。その話を聞いてから「SmartHRはユニコーン企業を目指せるかもしれない」と、僕自身も考えるようになりました。

「なぜこのタイミングでセカンダリーを?」「売却比率を“半分”にした理由は?」

石川:およそ9年後である2025年11月18日に、Coral Capitalが持つSmartHR株のうち半分をGAとのセカンダリー取引を通じて売却したことを発表しました。なぜこのタイミングだったのでしょうか?

Coral Capital Head of DPIの石川 亮太朗さん

James:Coral CapitalにとってSmartHRは、ファンド全体に占める比重的にも大きな存在でした。しかしながら、これだけの持ち分があっても上場後にすぐ売却できるかと言うとそうではない。上場前にセカンダリー取引で一部株式を売却し、上場時にさらに一部売却、そしてロックアップ解除後に数年かけてドルコスト平均法(決まった銘柄に対して、定期的に一定額を投資する方法)でexitしていくといった戦略が必要だったのです。

タイミングは、SmartHRのCFOである森さんに「いつならば、しっかりDD(デューデリジェンス)できそうですか?」をすり合わせたうえで決めました。

森 雄志(以下、森):セカンダリーとは言え150億円もの金額が動くので、フルスタック(必要な業務範囲をすべてカバーすることを指す)で対応できるかどうかは重要でした。なので、Jamesや石川さんとは昨年の年末頃からタイミングを図っていましたね。

SmartHR 取締役CFOの森 雄志さん

GAとSmartHRの関係は3〜4年前から始まっていました。今回のディールは、その積み重ねがあったうえでのことです。彼らはずっと日本で投資する機会を伺っていて、SmartHRにも注目してくれていました。GAの日本初投資に選んでもらえたのは光栄でしたね。

宮田:セカンダリーは関係性が薄い投資家が買い手として参加する可能性もあるため「得体のしれない投資家に株を売られてしまうのではないか」と懸念を示す発行体は少なくありません。

しかし、実際には発行体のことをよく知る投資家のほうが買い手として手をあげてくれる可能性は高いと思います。今回もSmartHRと何度もコミュニケーションをとってきたGAが買い手として名乗り出てくれたことはとてもよかったと思います。

:幸運でしたね。CFOにとって「良い株主構成を作る」はとても大事な役割です。基本的にセカンダリー取引は買い手・売り手の直接取引ではありますが、CFOという立場として、投資家は選びたいと思っていました。

我々SmartHRの規模になると、ベンチマークするテック企業やSaaSはおのずと海外になります。GAはHRTechのリーディングカンパニーに投資してきた実績もあり、多くの知見を持っています。SmartHRをARR(年間経常収益)200億円からより一層成長させていく意味でも、GAがこのタイミングで入ってくれたことはとても心強いです。

石川:ちなみに、なぜ「半分」という比率でセカンダリー取引をしたのでしょうか?

James:当初は3分の1でもいいかなと思っていました。ところが、GAから「高く買うので、ロット(取引規模)を大きくしてほしい」と言われたため、比率を「半分」にしました。結果的にはCoral Capitalにとっていい値段で売却でき、GAにとっても大きなロットを手にすることができました。まだ半分残しつつ、GAという強力なパートナーを仲間に迎え入れることもできたので、Win-Win-Winでしたね。

「従業員のセカンダリー」を解放することのメリット

James:今回の発表で、日本でも非上場のまま100億円以上のセカンダリー取引ができることを証明しました。ちなみにSmartHRにとっては2年連続で100億円以上のセカンダリー取引をしたことになります。

今後もSmartHRのようなスタートアップが増えてくることを考えると……。米国ではすでにセカンダリー市場が充実しているため、VCもPEファンドのようにリクイディティマネジメント(流動性のリスク管理)への意識を高める必要があります。日本のVCも、意識していかねばならないですね。日本におけるセカンダリーの発展もそうなのですが、宮田さんがNstockで準備中のセカンダリー事業にも期待しています!

宮田:ありがとうございます(笑)。今はまだ開業準備中なのですが、ここで少しセカンダリー全般の話をしてもいいですか?

James:もちろんです!

宮田:セカンダリーは、売り手によって3種類に分けられると思っています。それが「VCのセカンダリー」「創業者のセカンダリー」「従業員のセカンダリー」です。

今回のケースは1つ目の「VCのセカンダリー」に該当します。2つ目の「創業者のセカンダリー」は、僕のようなスタートアップの創業者が持つ生株で実施するものですね。まとまった量があるので、会社が急成長していれば買い手が見つかりやすく、相対取引で比較的成立しやすいのです。

最もハードルが高いのが3つ目の「従業員のセカンダリー」です。従業員が持つストックオプション(以下、SO)はあくまでも「権利」です。非上場時点では権利を行使して株式に変えることが難しいうえに、換金できるプラットフォームもありません。そういったハードルの高さもあり、日本では実例がほとんどないのです。

しかし、SOは権利行使しないままだと、基本的には発行から10年で失効してしまいます。SmartHRがCoral Capitalに初めて投資してもらったのは2016年。ほぼ同じタイミングで初期メンバーにSOを付与していたので、ちょうど10年となる来年(2026年)には失効してしまうところでした。2024年の税制改正によってスタートアップで最も活用されている税制適格SOの非上場時点での行使はしやすくなりましたが、もしそうなっていなかったら?今ごろ森さんは、SOの権利を持つ従業員から早期IPOのプレッシャーを受けていたかもしれません。

とはいえ、従業員のみなさんの気持ちも、とてもよくわかるのです。スタートアップに飛び込んだばかりのころはまだ若くてお金のニーズが薄かったけれど、10年も経つと家族を持つなどプライベートの状況が変わり「そろそろまとまったお金がないとライフステージの変化に対応できない」となる人も増えます。そうすると「来年、子どもは受験生だし……。宮田さん、SmartHRはいつIPOするんですか?」というプレッシャーが、創業者や経営陣にかけられるようになっていく。これは、心にくるものがあります。

:従業員のSOを理由に、事業全体としては望ましくないタイミングでもIPOを選択したくなる気持ちは痛いほどわかります。僕も、財務戦略や資本戦略を考えるうえで常に「従業員のSOをどうすべきか」は最優先事項として考えていますが、だからといってそれだけを優先するわけにはいかないこともあります。

Nstockによって従業員のSO行使後の株式でセカンダリー取引ができるようになれば、会社にとっては望ましいタイミングでIPOができ、従業員にとってもまとまったお金を手にする機会が生まれます。これまでは一部の人のみの特権だったセカンダリーを民主化できる意味でも、必要な事業だと思っています。

宮田:米国のSpaceXでは、従業員のSO行使後の株式を対象にしたセカンダリー取引を毎年実施していて、日本円で1,500億円以上の規模になっています。最近はOpenAIも1兆円近い規模となるセカンダリー取引を実現したと発表していましたよね。

日本では上場維持基準の引き上げ発表を機に、セカンダリーの認知が高まってきています。一方で、「(セカンダリー取引によって)従業員がお金持ちになり、退職リスクが高まるのでは」と感じる経営者もいらっしゃいます。

これに関しても、海外のスタートアップはうまくやっているんですよね。例えばFinTech系のスタートアップであるRevolutは「20%までセカンダリー取引してOK」という報道がありました。20%を売却できれば生活に関するほとんどのお金の問題は解決できますし、80%残ることで「もし会社の時価総額が10倍になったら、残りのSOの価値も10倍に高まるのか」と体感できます。セカンダリー取引に上限を加えることで、従業員のやる気を引き出す起爆剤にしたわけです。

日本のセカンダリーの発展はこれからではありますが、従業員の方々にとって「会社をより大きくしたい」という原動力にしていきたいですね。

セカンダリーは投資フェーズが異なる投資家にとってもポジティブなもの

石川:GAとの交渉プロセスで印象的だったことはありますか?

James:GAの営業スタイルが、大変面白かったんですよね。彼らはよく来日してくれていて、そのたびに家族ぐるみで食事に誘ってくれていました。こんなものもプレゼントされまして。

GAからプレゼントされたというマイク・タイソン選手のグローブ

マイク・タイソン選手のグローブだそうです。あと、大谷翔平選手のジャージもプレゼントしてもらいました。

石川:え、すごくないですか!

:僕も大谷翔平選手のジャージをもらいました。映画「トップガン」でトム・クルーズが劇中で着ていた革ジャンとグラサン、帽子もプレゼントされたので、僕なりの解釈ですが「トップを目指せ」というメッセージとともに受け取りました(笑)。彼らの営業スタイルはとても人間味があり、記憶に残るものでした。こうやってお互いの信頼関係を築いていくのだと、非常に勉強になりましたね。

James:そうですよね。僕のところには毎日メッセンジャーで連絡がきていました。例えば「I put my balls on the line.」など。社内に話を通すために頑張っているよと伝えてくれていたんですよね。

石川:DDはどうでしたか?

:GAの質問は本質を突くものが多く、SmartHRの今の事業や戦略、リソース配分を理解したうえで、クリティカルに重要なポイントに小気味良く指摘をくれました。彼らとのやりとりのなかで「この目線で数値を見ていなかったな」「この指標は少し悪くなっているな」など気づくことも多かったんですよね。「年に1回くらい、このレベルのDDを受けたほうが会社の健康診断になるかもしれない」と思えるレベルでした。

また、エンタープライズでのソフトウェア領域への投資では、日本はアトラクティブな市場なのだと感じました。この投資領域は、米国と欧州、豪州、日本にしか存在していません。東南アジアやインドでも伸びていますが、まだそれほど大きくはないのです。今回のセカンダリー取引を通じて、GAが日本での投資を本格的にスタートさせました。これをきっかけに、日本は世界中の投資家から注目されるようになるはずです。

石川:では、最後のひと言ずつお願いします!

James:GAとのセカンダリー取引が無事に着地してよかったと思っています。SmartHRの初期投資家として、オーバーハング懸念から考えても上場前にセカンダリー取引によって一部の株をexitできたことはとても嬉しいポイントでした。宮田さんや森さんをはじめ、僕らを信じてくれたSmartHRの方々には本当に感謝しています。

宮田: 今回のようなセカンダリーの大きなニュースが日本から出てくることは、とても良いですよね!これをきっかけに、日本でもセカンダリーを活発化させ、スタートアップエコシステムをより一層発展させていきたいです。

:僕はSmartHRのCFOとして、初期投資家の持分を徐々にレイター投資家の持分へどのように寄せていくかを常に考えています。

スタートアップが非上場期間を長く続けることのデメリットに「投資フェーズが異なる株主間の利害コンフリクト」があります。2016年から入ってくれたCoral Capitalと、2024年のシリーズEで入ってくれた投資家の方々ではexitのタイミングやリターンへの期待値も異なります。そんななか、セカンダリーによって初期投資家であるCoral Capitalの持ち分がGAへ移ったことは両者にとって良いことです。また、昨年ジョインしてくれたOTPPやKKRにとっても、利害が近い株主の持ち分が増えたことはポジティブに捉えています。

SmartHRに限らず、セカンダリーが会社のキャップテーブルマネジメントの有効な手段として活用されるケースが増えてくるといいなと思っています。

質疑応答

質問1:今回の発表を機にセカンダリーが活発になることで、5〜10年後の日本スタートアップのあり方にどんな影響があると思いますか?

宮田:特にスタートアップ業界では、どこかの会社が特徴的なすごいことをすると「そのやり方いいね!」と一気に広まる傾向があります。今回のようなVCによる大規模なセカンダリー取引は「売り抜けた」というものではなく、むしろ「セカンダリーで大きなexitを実施し、LP投資家に大きなリターンを返した」というとてもポジティブなニュースです。今回の発表によって、セカンダリーは当たり前のものなのだという認識がスタートアップ間で広まると思います。

:今回のように、セカンダリー取引を単体で行うことに大きな意義があると考えています。これまではプライマリーとセットで行う認識が強かったのですが、「発行体の資金調達タイミングが合わなくても、単体で行えるのか」という認識が広がることはとても良いことです。そもそも株式の価値は「流動性があること」に意味があります。その流動性を高める手段として、セカンダリーの価値は広く理解されてほしいですね。

質問2:今回のセカンダリー取引では、他の既存株主が参加しなかったのはなぜでしょうか?株主間での公平性はどのように調整したのでしょうか?

:定期的にセカンダリーのニーズを既存株主のみなさんに伺っています。前回のシリーズEラウンドでもニーズを聞いていて、そのときCoral Capitalはセカンダリーに参加しないと表明されました。今回に関しては、偶然Coral Capitalだけが希望していたということになります。このように、セカンダリーのニーズを含めて既存株主の方々とは細かくコミュニケーションをしています。

質問3:株価の価格交渉はどのように行われたのでしょうか?

James:バイアスをかけたくなかったので、価格はあえて提案しないようにしていました。ただ「基本的にディスカウントはしません」とだけ伝えていました。GA側で情報収集し、何回かのやりとりを経て売却価格に合意しました。

:SmartHRでも、基本的にはノータッチでした。資本戦略に影響が及ばないように、横から見ていたくらいの感じですね。

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