「理解されなければ意味がない」マイクロニティが新卒含む全社員へのストックオプション付与と価値浸透にこだわる理由

[会社データ]
社名 | 株式会社マイクロニティ |
|---|---|
設立 | 2025年4月 |
従業員数 | 約58名(2026年2月時点) |
SO付与回数 | 1回(2026年1月現在) |
AI駆動型ソフトウェア事業継承プラットフォーム「マイクロニティ」を運営する株式会社マイクロニティ(以下、マイクロニティ)。
同社は2025年4月に創業後、さまざまな業界特化型ソフトウェア企業をグループに迎え、AIドリブンで企業価値向上を推進しています。 また、2026年1月1日付で、株式会社メタップスホールディングス(以下、メタップス)のテクノロジー戦略部およびグロース戦略部に関する事業を吸収分割により継承することを発表しました。
そんなマイクロニティでは、新卒を含む全正社員を対象にストックオプション(以下、SO)を付与しています。その背景には、同社代表取締役社長である山﨑祐一郎さんの「メタップス時代にSOの価値を伝えきれなかった」という後悔がありました。
SO設計に込めた思いと株式報酬SaaS Nstock(以下、Nstock)の導入について、社長室室長の伊地知正幸さんに話を聞きました。
過去の後悔を経て、マイクロニティでは「ストックオプションの価値を浸透させることに注力」
──まずはマイクロニティさんのSOに対する考え方から伺いたいです。
伊地知:マイクロニティは、前身であるメタップスの頃から一緒に働いている従業員たちとともに立ち上げたスタートアップです。さらに、新たに加わった正社員たちとも手を取り、時価総額1兆円企業を目指したいと考えています。
SOについては、過去にSO設計をリードしていた山﨑(代表取締役社長である山﨑祐一郎さん)も関わっています。山﨑自身の経験を踏まえて設計し、今のマイクロニティのSOが誕生しました。

──山﨑さんご自身の経験とは、具体的に何があったのでしょうか?
伊地知:メタップスは2011年にアドテク事業をローンチし、2015年に上場しました。約4年という短期間で上場したため、SOの価値を従業員に細かくしっかりと説明する余裕がなかったと山﨑から聞いています。当時は「はい、サインしてください」「はい、次の方」という感じだったそうです。
その結果、SOの価値を理解していない従業員や役員が上場直前に辞めてしまうというケースがありました。上場直前に退職した人のなかには、数億円相当のSOを持っていた人もいたそうです。もちろん、山﨑はその方々に再度説明はしたものの「いや、よくわらないので大丈夫です」と言われていました。
山﨑自身が新卒で入った外資系投資銀行では、給与の半分が株式報酬というパッケージが一般的でした。しかし、当時のスタートアップ業界では株式報酬の認識は今よりも浅く、経営陣側も「お守り程度に持っておいてください」という伝え方しかできていなかったそうです。

──それは、悔しい気持ちになりますね。
伊地知:そうなんです。そもそもSOの発行には上限があり、そのなかで付与する個数が決まります。付与された人が「SOはいらない」となれば、他の方に譲ることもできます。ですが、当時はそういった手段を講じられないまま、本来は他の人に渡せたはずの枠も消すことになってしまいました。
上場まで一緒に頑張ってきた仲間に報いることができなかったという悔しさはもちろんですが、「退職した人・SOをもらえなかった人・会社」の三者にとって良くない状況にしてしまったことを、山﨑は今も後悔しています。だからこそ「SOの価値をわかっている人に渡したい」と考え、マイクロニティではSOの価値を浸透させることに注力することにしたのです。
「新卒を含む全社員にストックオプション付与」「M&Aでグループインする企業のマネジメントにも付与予定」
──マイクロニティさんのSO設計内容を教えてください。
伊地知:大きくはこの4つです。
- M&A時も行使可能
- 退職時の持ち出しNG(ただし取締役会で特別に認められた場合は持ち出しOKとする)
- 2年後から毎年1/4ずつ、5年で全量確定(基本的にはM&Aまたは上場を条件とするが、取締役会で認められれば上場前でも行使可能)
- 新卒を含む全正社員にSOを付与
「M&A時も行使可能」では、昨今の日本のスタートアップを取り巻く環境の変化を鑑みて、マイクロニティがM&Aをする場合でもSOを行使できるようにしました。
また、基本的には「退職時の持ち出しNG」としていますが、取締役会で特別に認められた場合は持ち出しOKとなるようにしています。人によっては、何かしらの理由で退職しなければならないことも起こり得ると思いますので、そんなときにマイクロニティのSOが足かせにならないようにしたかったのです。行使スケジュールに関しても、M&Aや上場が条件となりますが、取締役会で認められれば上場前でも行使できるようにしました。
──4つ目の「全正社員に付与」ですが、新卒も含むというのはめずらしいケースだと思いました!その意図も伺いたいです。
伊地知:ありがとうございます。マイクロニティでは新卒採用も重視していて、「キャリア採用は即戦力」「新卒採用はカルチャーを醸成」と捉えています。マイクロニティという会社を大きく強くしていくための中心的存在として、SOを付与しています。

──マイクロニティはソフトウェア企業のロールアップ事業(同じ業界・領域の複数の企業を次々とM&Aして、規模を大きくしていく戦略を指す)を展開していて、M&A先企業のマネジメントにもSOを付与予定だと聞いています。
伊地知:そのとおりです。マイクロニティでは今後さまざまなグループ会社が増えていきます。そのなかで、ともに挑戦する仲間になってくださった役員クラスの方々に対しても付与していきたいと考えています。
「ストックオプションの価値は顕在化させたほうが従業員が前向きになる」と信じている
──Nstock導入のきっかけは何だったのでしょうか?
伊地知:以前よりSmartHR社とはご縁があり、宮田さん(SmartHR創業者、Nstock代表取締役社長の宮田昇始)がNstock社を立ち上げたことも知っていました。実際にサービスに触れてみて、わかりやすいUI/UXでいいなと思いましたね。
今の組織規模であれば、SOの実務はExcelで対応できるかもと思いつつ……。実際にNstockのサービスに触れてみると、SOに馴染みがない人でも視覚的にわかりやすくなっていると感じました。導入を決めた山﨑も「これなら、SOを付与される側にとって価値が伝わりやすくなる」と言っていましたね。

──とはいえ、経営者のなかには「(事業が低迷しているときも考えると)SOの価値を可視化することに懸念がある」という人もいます。マイクロニティさんでは、その懸念はなかったのでしょうか?
伊地知:確かに、数字が独り歩きする可能性もありますね。ですが、マイクロニティでは「SOの価値を顕在化させたほうが、みんなが前向きになってくれる」と信じています。業績を伸ばし続けることは容易くありませんが、良くない状況をみんなで受け止めるためにもどんどん可視化していきたいと思っています。
──Nstock導入後、みなさんの反応はいかがでしたか?
伊地知:マイクロニティでは、想定キャピタルゲインを「時価総額1兆円」で設定しています。社内向けSO説明会後に権利者マイページを見た人たちからは「これはアツいですね!」「SOの価値がわかりやすくていいですね」というコメントが寄せられていました。

──マイクロニティさんはNstockのドメインエキスパートによるSO相談会にも参加されていましたよね?
伊地知:山﨑が参加していました。昨今のSO事情や税制適格SOについて伺うことができ、勉強になったと聞いています。
ストックオプションを通じて従業員が株主意識を持ち、“4倍速”でデカコーン企業を目指す
──マイクロニティさんの今後についても教えてください。
伊地知:マイクロニティのカルチャーの1つに「世の中の『4倍速』で動き、課題に先回りする」があります。その言葉どおり、現在進行形でさまざまな事業がハイスピードで拡大しています。マイクロニティの創業は2025年ですが、もう3年くらい経っているような感覚すらあるくらいです(笑)。
マイクロニティは、ゆくゆくはグループ会社をあわせて何千名という従業員が働く会社になります。現在の組織規模から4倍速でそのレベルに到達するのは大きな挑戦ではありますが、SOを通じて、みんなが株主として企業とともに成長していけるようにしたいですね。
事業に関しては、ソフトウェア事業承継プラットフォームをもっと進化させていきます。先日(2026年2月)にも、3Dモデリングソフト「SketchUp」の国内販売を手掛ける株式会社アルファコックスの事業継承を発表しました。これは建築業界向けソフトウェアの1号案件になりますが、今後も医療や自治体などさまざまな業界ソフトウェアがグループインする予定です。
──ありがとうございます!そして、マイクロニティさんは2026年3月31日に資金調達も発表されました。代表の山﨑さんからコメントもいただいています!
[マイクロニティ代表取締役社長、山﨑祐一郎さんコメント]
今回の資金調達を機に、改めて「AI駆動型ソフトウェア事業承継プラットフォーム」の成長を加速させ、「デカコーン(時価総額1兆円企業)」を目指すことを宣言しました。
メタップス時代の最高時価総額は600億円でした。マイクロニティでは5〜10年かけて、1兆円を目指します。数字から見ても壮大なチャレンジであることは明白ですが、挑み甲斐があることも間違いありません。
今改めて振り返ってみると、私自身も、インセンティブとしてのSOがなければスタートアップに挑戦する決断はできなかったかもしれません。大きなキャピタルゲインを得る可能性を手にできるからこそ、スタートアップのようなチャレンジングな環境に飛び込める。そして、その恩恵を私自身が知っているからこそ、マイクロニティのみんなにもSOの価値を理解してもらいたい。マイクロニティの創業者として、みんなが大きなリターンを望める機会にできればと思っています。
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