「たくさんの想いを背負った事業だから」メデタがNstockで社外の専門家・研究者にもストックオプションを渡したかった話

[課題]
- コーポレート部門のリソース不足で、一人でも対応できるツール導入が急務だった
- 基本的なストックオプション実務に加えて、社外高度人材や海外在住の方への発行など特殊な論点への対応が必要だった
[会社データ]
社名 | 株式会社メデタ |
|---|---|
設立 | 2021年7月 |
従業員数 | フルタイム10名 |
SO付与回数 | 2回(2026年5月時点) |
「アジアから、生殖医療者の技術をデジタルの力で拡張し、世界中に届ける」をミッションに掲げ、生殖医療領域の業務プラットフォーム「コウノトリSeries」など、生殖医療者の技術をデジタルの力で拡張しているのが株式会社メデタ(以下、メデタ)です。2025年11月には「B Dash Camp 2025 Fall」のPitch Arenaで優勝、2026年3月には「EY Innovative Startup 2026」を受賞するなど、注目を集めるヘルスケアスタートアップでもあります。
そんなメデタがストックオプション(以下、SO)を初めて発行したのは2026年3月のこと。最初に付与されたのは、メデタの事業や技術に深く関わる社外の研究者や専門家の方々でした。
「メデタのプロダクトは、教師データに使わせていただいた患者さまのお子さまを望む強い想い、アカデミアにおける研究者の不断の努力、臨床現場における医療者の試行錯誤など、いろいろな人の“気持ち”を背負っています。だからこそ、メデタ一社だけではなく、一緒にあるべき姿を追求してくださっているみなさまと成果を分け合えるようにしたいと思いました」と語るのは同社代表取締役CEOの伊藤慎悟さん。
SOの位置づけや株式報酬SaaS Nstock(以下、Nstock)導入のきっかけなどを伺いました。
「働く幸せ」と「家族をつくる幸せ」を両立できる仕組みをつくるため、SOで仲間を増やす
──メデタさんが初めてSOを発行したのは2026年3月で、「社外高度人材に対するストックオプション税制」を活用していました。まずは、その経緯から伺いたいです!
伊藤:メデタにとって株式やSOは、社内外を問わず、一緒に深い課題の解決のために長くコミットしてくれる方々との「仲間の証」です。

そもそもメデタは、患者さまが究極的に求めている「幸せな出産」というアウトカムにAIを中心とするテクノロジーを使って向き合っています。そして、そのアウトカムを創出するための技術を磨くには、生殖医療の現場で日々患者さまに向き合い、生殖医療を発展させてこられた医師や胚培養士、研究者など、そうした社外の方々との協働が不可欠です。なおかつ、深く大きな課題であるため、時間をかけて事業を育てていかなければなりません。
そう考えると、現金報酬や共同研究費だけでは「支払って終わり」となってしまい、特にコミットメント面では限界があります。そこで、「社外高度人材に対するストックオプション税制」を活用して、社外の方々に付与することにしました。初回発行から社外高度人材を対象にしたのは、ちょうどアカデミアからメデタのサービスで彼らの技術を活用するうえで必要な知財承継契約のタイミングと重なったためです。次回以降は、従業員へのSO発行を予定しています。
──「幸せな出産を増やす」という表現、素敵ですね!
伊藤:ありがとうございます!
我々が医療者と共に向き合う「出産」までの道のり一つひとつには、それぞれドラマがあります。なので、メデタのプロダクトも組織も利益も、すべて不妊治療を受けられている患者さまの「幸せな出産」のためにありますし、社外のみなさまのエネルギーや知見を本気でぶつけていただきたいと思っています。
当然ながらビジネスとして売上を追わないわけではないのですが、メデタがこの製品で本質的に目指す最終指標は「幸せな出産の数」です。追うべき指標を「ただの数字」と見ないようにするためにも、SOによって事業成長とアウトカムの創出を実感できるようにしたいですね。
「社外高度人材に対するストックオプション税制」の手応えと期待は?
──「社外高度人材に対するストックオプション税制」の活用事例は、まだ多くありません。実際に手続きをしてみて、いかがでしたか?
伊藤:おっしゃるとおり、活用事例があまりなく、相談相手が少ないことが最も大きなハードルでした。まだそれほど年月が経っていない制度ということもあり、申請の流れそのものを細かく確認しなければならなかったり、認定計画と業務委託契約の期間を2年以上重ねる必要があったりと、所属先の規定に沿って契約形態を整えなければなりませんでした。雇用に関する条件を一つひとつ確認するほか、ただでさえお忙しい付与対象者に住民票を紙で取り寄せてもらわなければならないこともあり、心苦しい場面もありましたね。

それでも、この制度は高く険しい山を登るために必要だと信じています。先ほどお話ししたとおり、知財承継の交渉と並行していたため「やめる」という選択肢はありませんでした。前例が増えればもっとスムーズになると思っているので、期待しています!
ちなみに、初回のSO付与対象者のうちの一人が台湾在住の専門家でした。海外在住の方への発行となると居住者要件を満たさないため税制優遇を受けられません。そのあたりをご本人にも理解してもらったうえで進めなければなりませんでした。Nstockのドメインエキスパートの方に壁打ち相手をしてもらいつつ、付与対象者の方とは、お互いに母国語ではない英語でやりとりしながら進めました。いろいろと手を尽くしたおかげで、メデタの事業をアジアに広げていくうえで大事な一歩を踏み出せました。
※ 本記事で触れる税務・法務の取扱いは、制度改正や個別事情により異なります。詳細は税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
──付与された方々の反応はどうでしたか?
伊藤:専門家の多くは、所属機関の倫理規定や慣習のなかで、企業との関係性にとても慎重に向き合われている印象でした。そういった背景もあり、当初はSOを受け取ること自体に戸惑いを感じられる方や、株式自体に馴染みのない方もいらっしゃいました。
今回の付与では、Nstock担当者に提供してもらった資料を使いながら、仕組みの説明と並行して「なぜあなたにお渡ししたいのか」をセットで伝えていきました。振り返ってみると、SO発行をきっかけに、改めて関係性を深める機会になりましたね。
印象的だったのは、Nstockの管理者マイページでシミュレーションを見た方々の反応でした。「これは夢がありますね!」と言ってくださる方もいて、SOの価値が伝わった手応えを感じました。研究者にとってはたゆまぬ努力を社会に実装させたひとつの成果であり、未来に向けたさらなる研究の原資になると解釈いただけたようです。

Nstockの決め手は「導入先企業のヒアリング」だった
──Nstock導入のきっかけは何だったのでしょうか?
伊藤:もともとNstock代表である宮田昇始さんのX(旧Twitter)をずっとフォローしていたので、Nstockを創業したことは知っていました。ですが、当時はメデタでSOを発行することを考えていなかったので「そういうサービスがあるんだな」くらいの距離感でした。
メデタでSOを発行することにしたとき……実は言いますと、当初は「何から始めればいいのかわからない状態」だったのです。ちょうど資金調達の対応をしていたこともあり、私一人でSO設計まで作り込むにはどう考えても無理がありました。そんななかでNstockを思い出し、相談してみることにしたのです。

──お役に立てたのでしょうか?
伊藤:Nstockのセールス担当の方と話しながら「メデタの場合、何から決めるべきか」という整理から、SO設計の戦略面など、壁打ち相手になってもらいました。本当にありがたかったです。
──それはよかったです!その後、サービスを導入いただいていますが決め手はなんだったのでしょうか?
伊藤:リアルな使用感を知りたかったので、事前にNstock導入企業であるMalmeの高取さん(Malme代表取締役の高取 佑さん)にヒアリングをさせてもらったのです。契約書を雛形のまま使えることや、実務コストを大幅に削減できることなどを聞き、これならいけるぞとなり導入を決めました。
──実際に使ってみていかがでしたか?
伊藤:契約書の雛形を含めて、期待値通りでした。メデタのように、コーポレート部門の人員が潤沢ではない会社にとって、「ここから始めればいい」というかたちが用意されているのは助かりますね。
その後も引き続き、SOに関する相談をNstockにしています。先ほどお話した「社外高度人材に対するストックオプション税制」で台湾在住の方に付与する際も相談に乗ってもらいました。通常の従業員向けSOより“さらに一歩踏み込んだ設計”もNstockさんがいれば安心して作り込めそうだと思いました。
ストックオプションによる「仲間の証」を職種・立場を横断して広げていきたい
──メデタさんの今後についても伺いたいです!
伊藤:研究者の方々へのSO発行はもちろん、従業員のみんなや業務委託でサポートいただいているみなさまへの発行も本格的に進めていきます。これから入っていただく方だけでなく、これまでメデタを支えてきてくださった方々の努力や貢献にも、ちゃんと報いることができるように運用していくつもりです。
そして今回、台湾在住の専門家やビジネスの立場以外の方にもSOを付与したように、今後はコミット及び応援いただけるいろいろな立場のみなさまにも仲間として参加してもらえるような設計にできればと思っています。メデタでは「アジアから、生殖医療者の技術をデジタルの力で拡張し、世界中に届ける」というミッションを掲げているので、SOの発行先もアジア全体に広げていきたいですね。もちろん、すべてはアウトカムにみんなでコミットするためです。
また、これはまだ構想段階ではありますが、ゆくゆくは私たちが目指す「幸せな出産の数」とSOを絡め、例えば「プロダクトを通して累計で◯万人の幸せな出産に貢献できたら、そこに紐づくSOをみんなで分け合おう」なんてことができればいいなと思っています。
──まさに「アウトカムから考える」というバリューを持つメデタさんらしいSOになりますね!本日はありがとうございました。
メデタの採用情報はこちら!

