330名規模になっても株式報酬制度に真摯に挑む──ログラスがNstockで目指す"魂を分かち合う"ストックオプション運用

[課題]
- 従業員が増えるなか、スプレッドシートやWord、電子署名の3つで運用し続けることに限界があった
- 新たに「ベスティング条件」がストックオプション設計に加わり、実務の難易度が上がった
[会社データ]
社名 | 株式会社ログラス |
|---|---|
設立 | 2019年5月 |
従業員数 | 339名(2026年5月時点) |
「良い景気を作ろう。」をミッションに、企業の経営管理をDX化するクラウドソフトウェアを提供する株式会社ログラス(以下、ログラス)。創業以来、ストックオプション(以下、SO)による株式報酬制度を導入していた同社が「IPO前に行使可能」「行使価額1円」という新たな設計内容へと刷新したのは2025年3月のことでした。その全容を記したnoteも公開し、注目を集めました。
ログラスのSO設計のコンセプトは「同じ船に乗る者として魂を分かち合う」。この考えが生まれた経緯や新たに「IPO前に行使可能」「行使価額1円」とした理由、そして株式報酬管理SaaS Nstock(以下、Nstock)導入の決め手や効果を同社取締役 執行役員CFOの伊藤 駿さんに伺いました。
ストックオプション設計の刷新について“あえて”noteで公表した狙い
──ログラスさんは2025年3月にSO設計を刷新し、その経緯をnoteでも発信されていました。あえてオープンにした意図を教えてください。
伊藤:採用効果への期待と「ログラスは新しい取り組みをするスタートアップなんだな」と伝えることが目的でした。特に「IPO前に行使可能」という条件は当時の日本ではまだめずらしかったこともあり、このnoteを読んだ採用候補者の方から「ログラスさんがこういったチャレンジをしているって、すごくいいことですね」という声を多くいただきました。発信してよかったと思っています。
noteを書く際、ログラスのSO設計を社外に向けて話すときのガイドラインになるようにも意識しました。採用プロセスのなかで、SOに関する質問をされたときに「どこまで話せばいいのか」「どう表現して伝えればいいのか」と迷う社員は少なくありません。こうやってnoteにまとめておけば「ここに書いてある範囲なら話してOKですよ」と伝えられます。noteを書いたことで、社員のみんなにとってもログラスのSO設計を話しやすい状況にできました。
──そもそも、ログラスさんはSOをどういう位置づけで考えられているのでしょうか?
伊藤:ログラスにおけるSOのコンセプトは「同じ船に乗る者として魂を分かち合う」です。スタートアップは不確実性が高い事業に挑むため、ログラスにもリスクをとって飛び込んできてくれた社員が大勢います。だからこそ、一緒に困難を乗り越えた先で得た成功をみんなでシェアしたいと思いました。イメージとしては大人気漫画『ONE PIECE』のような世界観です(笑)。

前提として、ログラスは創業メンバーが自らの資産を出し合って創業したスタートアップです。彼らの資産が原資になっていることもあり創業者の魂をみんなにしっかり受け取ってほしいという気持ちもありました。決して「ありがたがってほしい」というわけではありません。思いが込もっているものであり、なおかつ単なる経済報酬以上の価値があると思っているので、ここはきちんと伝えるようにしています。
また、SOによる「成功の果実」は、フリーライドして得てほしいものではありません。SOの価値を上げるには「企業価値を高めること」にコミットしていく必要があります。我々ログラスは、お客様の企業価値向上につながるソフトウェアを開発していることもあり、自社のSOを通じて「株価を上げること」の意味を社員みんなに体感してもらいたい気持ちもありますね。
「なぜ上場前に行使してはいけないのか?」から考え直し、現在の設計内容へ大きく刷新
──ログラスさんは2025年3月に「IPO前に行使可能」「行使価額1円」といった内容を含めて、SO設計を刷新しています。改めて、その理由を教えてください。
伊藤:ログラスは、企業価値を高めたうえでの上場を目指しています。そのため、非上場期間を通常より長く続ける決断も視野に入れています。とはいえ、上場するまでの期間が長くなると社員の中にはライフプランの変化によって、大きな出費や転職をしなければならないケースも出てきます。そうしたときに「上場していないからSOを行使できない」というのは、彼らとしても辛いと思いました。
なにより、スタートアップではSOを行使できないために、モチベーションを失っているのに、SOを行使するためだけに上場まで在籍し続ける社員が出てしまうケースもありえます。これは、社員にとっても企業にとってもあまりよくない状況です。
こうした課題を起点に、ログラスでは「なぜ上場前に行使してはいけないのか?」から考え直しました。税務面などの制約はいろいろありましたが、専門家の方々の力を借りつつ、現在の設計にたどり着きました。

──社員の方々に対して、できるかぎりフェアに考えた結果でもあったんですね。
伊藤:そうですね。行使価額1円としたのも、社員の報酬メリットを最大化しつつ、非上場期間を長く取る資本政策とも両立させるためでした。
そもそも行使価額とは「社員がSOを行使する際に会社に払い込まなくてはいけない金額」です。SOの目的が報酬であるならば、この価格を低く設定することで社員の金銭的負担を減らせます。また、税制適格要件の金額上限が権利行使価額ベースで決まっていることも考慮すると、行使価額を1円にすれば報酬としての効果を大きく高められると考えました。
しかし、行使価額1円にすると、会計上の時価と税務上の時価の差額を株式報酬費用として計上する必要があり、PERを用いた上場時のバリュエーションに影響する懸念もあります。この点に関しては、ログラスはまだまだ攻めるフェーズで、非上場段階ではキャッシュアウトを伴わない費用は深刻な問題にはなりにくい、と判断しました。
──社員のみなさんの反応はどうでしたか?
伊藤:社員のことを考えた設計だと感じた、と言ってくれる社員は多かったです。付与対象者全員に個別でDMして伝えています。初めて付与する人には1on1を通じて口頭で話していますね。それなりの時間を要しますが、SOの説明というイベントに合わせると業務以外の話をしやすく、今後のキャリアを語り合うなどお互いの距離感を近づけるいい機会になっています。
Nstock導入後、割当契約締結における実務コストは半分以下になった。そして…
──Nstock導入のきっかけを教えてください。
伊藤:これまでのSO実務は、スプレッドシートとWord、電子署名の3つで運用していました。ところが、従業員数が330名を超え、付与対象者も増えていくなかでは限界を迎えつつあったのです。さらに、今回からベスティング条件も加わったので、運用の難易度がぐっと上がりました。そこで、Nstock導入を検討し始めました。
Nstock導入の決め手の1つは、付与対象者それぞれが自分のSOの価値を確認できることでした。300人規模の組織になると、モチベーションの濃淡が出てくるものです。金銭的な部分がすべてではないものの、自分のSOの価値を見られることはモチベーション維持につながると思いました。
──導入前はスプレッドシートやWordを使って運用していたとお話ししていましたが、導入後の手応えはいかがでしょうか?
伊藤:体感として、管理コストは半分以下になりました。ログラスのSOは、等級と評価に応じて、ストックオプションが付与される仕組みになっています。等級と評価を管理するためのスプレッドシート管理は継続していますが、「Wordで契約書を作る」「電子署名を通じて送付する」の作業をNstock上ですべて行えるようになり、圧倒的に楽になりましたね。
.png)
心強いと感じたのは、Nstockによって「SOの正本がここにある」と思えるものが誕生したことです。これまでは情報管理をスプレッドシート上で行っていたため、情報があちこちに散らばっていました。NstockはSOに関する情報を一元化できるため、誰がどれくらいのSOを持っていて、ベスティングがどうなっているかも一目で把握できます。間違えたくない作業だからこそ、情報管理のうえで安心感を持てたことは大きいです。

──社員の方々の反応は?
伊藤:自分のSOの金額が画面に出ると「おっ!」となる方が多かったです(笑)。サービスを作る立場として「(NstockのUI/UXに触れて)シンプルなサービスに見えますが、これでどれくらいの運用コストになったんですか?」と感度の高いコメントもありましたね。
実は、半年に1回SOを付与したいという気持ちもあるんです。新しく入った人が最初の半年を頑張ったタイミングで「ここまで頑張ってくれたから、これくらいだよ」と渡せると、「もう1年頑張ろう」というエンジンの再点火になる。そういう運用も、Nstockを使えば実現できる可能性がありそうだと感じています。
「事業の変化に合わせて、報酬設計も柔軟に考えていきたい」
──今後についても伺いたいです。
伊藤:上場してからも、株式報酬や持株会など、フェーズに合った形で株式報酬は柔軟に検討していきたいと思っています。事業もどんどん変わっていくので、報酬設計もそれに合わせて柔軟に考えられるようにしたいですね。
とはいえ、資本政策は後戻りができないものです。だからこそ、場当たり的に考えるのではなく、ある程度プランを持っておかないと後悔してしまう。そこはかなり意識しています。報酬のあり方は、形こそ変われど、貢献してくれた人たちに報いるための制度づくりに挑み続けるつもりです!
──ログラスさんのお話を伺っていて、守りに徹するだけではなく、ときには攻めの姿勢で報酬設計に向き合われている印象を持ちました!本日はありがとうございました!
ログラスの採用情報はこちら!

