「ディープテックだから」は関係ない──エレファンテックがストックオプション設計でたどり着いた答え

[課題]
- 従業員の増加とともに、手作業でのストックオプション実務に限界が見え始めていた
[会社データ]
社名 | エレファンテック株式会社 |
|---|---|
設立 | 2014年1月 |
従業員数 | 約150名(2025年12月時点) |
SO付与回数 | 17回 |
金属インクジェット印刷技術を用いたプリント基板の製造を手掛けるエレファンテック株式会社(以下、エレファンテック)。同社では創業2期目という早い段階からストックオプション(以下、SO)を導入しています。
SOでは「ディープテックだから」「製造業だから」という理由で特別な設計にするのではなく、「自社の状況に合わせて合理的な判断を重視してきた」と同社の執行役員でコーポレート本部長である﨑村慧太さんは話します。さっそく、SO設計のこだわりや株式報酬管理SaaS Nstock(以下、Nstock)導入の背景についてお話を聞きました。
「ディープテックだから」と特別な設計内容にしていないけれど
──初めに、エレファンテックさんのSO導入の背景から伺わせてください。
﨑村:前提として、代表である清水(エレファンテック代表取締役社長 / CEO / Founderの清水信哉さん)は、企業成長によって得られる成功の果実をみんなでシェアしたいという考えがありました。それに加えて、人事観点では従業員のみんなと挑戦を続けていきたいため、長期就業を促す仕組みもほしいと思っていたのです。そこで、早い段階からSO導入を決めました。

──ディープテックの特徴として「研究期間があるため、他スタートアップに比べて上場まで少し時間を要する」があります。そのため、早い段階からSOを導入するディープテック系スタートアップも少なくないのですが、エレファンテックさんにもそのような考えはあったのでしょうか?
﨑村:「ディープテックだから」「製造業だから」という理由で、SOに特別な設計を施さなければいけないとは考えていませんでした。あくまでも、エレファンテックを取り巻く状況や採用マーケット、自社としての精神や思想を鑑みたうえで、合理的だと思う内容にしています。
もちろん、我々もディープテックとしてのハードシングスはありました。創業から量産販売にたどり着くまでの間はいわゆる“潜伏期間”が長かったので、キャッシュフローの観点から採用も必要最低限に抑えていました。そういった潜伏期間を経て、2016年に弊社独自のプリント基板製造技術であるSustainaCircuits技術の検証を開始し、翌年2017年には商品化に至りました。そして2020年には量産拠点として「AMC名古屋」を設立しました。

潜伏期間だったころはリファラル採用が中心で、研究者同士のつながりや、学生アルバイトからの採用などでコツコツと仲間を集めていましたね。当時からエレファンテックの採用活動では「株式報酬制度はある」と伝えていたものの、前面に出しているわけではありませんでした。ところがうれしいことに、エレファンテックのミッションである「新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る」に共感して入社を決めてくれる人が現在も多く集まっています。
「全従業員が付与対象」に変更した理由
──エレファンテックさんは創業まもないころからSOを導入されていますが、設計内容に変化はあったのでしょうか?
﨑村:エレファンテックのSO設計は複数回の変更を経て、現在の内容になりました。そのなかでも大きな変更点となったのが、全従業員を付与対象にしたことでした。
当初は一定の等級以上にあたる従業員にSOを付与していました。しかし、徐々に「あの人たちにはSOを付与していないから話しづらい」という、特に経営陣における心理的コストが大きくなっていたのです。また、組織内の公平性を損なわないためにも全員に配ったほうがいいと考え、「全従業員が付与対象」に変更しました。

──社内に対して、SOはどのように説明されているのでしょうか?
﨑村:エレファンテックではSO付与時以外でも、年に1回、社内向けSO勉強会を実施しています。先ほどもお話ししましたが、我々にとってSOは、従業員の長期就業を促すという目的があります。しかしながら、SOの価値が正しく理解されていないと意味がありません。付与時も説明していますが、配布した資料をしっかり見てもらえないこともあるので……。定期的に社内向けSO説明会を実施して理解浸透を図っています。

SOを説明する際は「SOは、会社と従業員がともにハッピーになる合理的な仕組みです」と伝えています。工夫しているのは、一般化して説明していることですね。エレファンテックには研究職やビジネス職のほか、AMC名古屋の製造スタッフなどさまざまな業種の従業員がいて、それぞれ金融リテラシーも異なります。理解に差が出ないよう、気をつけながら伝えています。社内向けSO説明会の定期的な実施もあり、従業員の多くがSOの基本的な仕組みを理解してくれていると思っています。
Nstockはストックオプションの実務コスト軽減だけでなく「相談相手」にもなってくれる
──Nstock導入のきっかけは何だったのでしょうか?
﨑村:エレファンテック代表である清水から提案されたことでした。ですが、当初は「ツールに頼らなくても自分たちでできる」という理由で見送りました。
ところがその後、徐々に従業員が増え、手作業のみでSO実務を行うことに限界が見え始めました。僕が入社したのは2023年ですが、それ以前は前任者が従業員のSO情報をスプレッドシートで管理していました。さらに、従業員一人ひとりの契約書を作り、PDF化して、DMで送るという実務もありました。
それに、SOにはセンシティブな情報が多く、心理的コストも高い。「他の業務もあるなかで、SO実務だけに時間を割くのは難しい」と考え、Nstock導入を決めました。導入後はスプレッドシートでの管理も不要になり、契約書作成も一括でできるので、手間も大幅に減りました。

最も助けられたのは、Nstockのドメインエキスパートの存在です。税制改正を機に「将来的にどうするかはわからないが、セカンダリーという手段を残しておくためにも対応しておかねば」と考えていたのですが、そのためのSOの再設計がとても複雑で……。Nstockのドメインエキスパートの方々にサポートしてもらえたおかげで、無事に手続きを完了させることができました。Nstockを通じて、必要な情報を得られたことはとてもよかったです。

今後エレファンテックではSOだけでなくRSU(Restricted Stock Unit:譲渡制限付株式ユニット)やセカンダリーを検討するかもしれません。そのときのために、Nstockと情報交換もしています。まだはっきりと決まったわけではない初期段階の検討にも柔軟に寄り添ってくれる相手がいるというのは心強いですね。
──相談いただけること自体がとてもうれしいです。引き続きぜひお願いします!
会社と従業員ともにハッピーな仕組みとしてストックオプションを活用していきたい
──エレファンテックさんの今後についても伺わせてください。
﨑村:前述のとおりですが、エレファンテックの採用活動ではSOを前面に出しているわけではありません。ですが、エレファンテックには「大谷翔平選手のように、前人未踏の領域で世界的な成功を目指したい」という理由で、一緒に挑戦してくれている仲間が多く集まってくれています。そう考えるとエレファンテックは採用活動においてSOが頭に浮かぶ機会は少ない方のスタートアップかもしれませんが(苦笑)。とてもありがたいことですよね。
僕は、SOは企業と従業員それぞれにとって合理的な仕組みだと思っています。だからこそスタートアップで広く活用されていますよね。スタートアップエコシステムの観点でも、成功したスタートアップの従業員が得たお金や知見が循環していく意味でも、必要な機能だと思います。エレファンテックでも引き続き、会社と従業員双方にとってハッピーな仕組みとして活用していきたいです。
──そしてエレファンテックさんは2026年3月12日に資金調達を発表されました!意気込みなどありましたら。
﨑村:ありがとうございます!今回の調達を経て、私たちの技術を「世界標準化」していくため、普及に向けた本格的な挑戦が始まります。みなさまの期待に応えられるよう、従業員一丸となってこの大きな挑戦に向き合っていきます。
現在、さらなる事業拡大に向けて採用を強化しています。エレファンテックのミッション「新しいものづくりの力で持続可能な世界をつくる」に共感し、ともに世界を目指してくれる仲間を募集しています。ご興味がある方は、採用ページをぜひご覧ください。
──エレファンテックさんの挑戦を応援しております!本日はありがとうございました。
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