LayerXが資金調達とあわせてNstockを導入した理由は?人事担当者「自分ごと化してもらえる大チャンスだと考えていた」

[課題]
- 限られた人数でミスなくストックオプションの管理体制を構築することが急務だった
- ストックオプションの付与・保有状況が整理されておらず、正確な状況を把握できる人材も限られていた
[会社データ]
社名 | 株式会社LayerX |
|---|---|
設立 | 2018年8月 |
従業員数 | 463名(2025年9月末現在) |
AI SaaS事業「バクラク」やFintech、Ai Workforceなどの事業を展開する株式会社LayerX(以下、LayerX)。同社では組織規模が400名を超えるまで、スプレッドシートでストックオプション(以下、SO)を管理していました。
そんなLayerXが株式報酬管理SaaS Nstock(以下、Nstock)の導入を決めたきっかけは何だったのでしょうか?LayerXの執行役員 CHROである石黒卓弥さん、HR担当の小瀬川奈津子さんに伺いました。
Nstockに最も期待しているのは「SO実務コストの削減」
──LayerXさんでは創業初期からSOを導入し、組織規模が463名(2025年9月末時点)になるまでスプレッドシートなどで管理していたと伺いました。このタイミングでNstockを導入しようと思った背景を教えてください。
石黒:率直にお伝えしますと、我々LayerXがNstockに最も期待しているのは「SO実務コストの削減」です。

SOにはセンシティブな情報が多く、それらの情報は人事・労務・法務それぞれが管理しています。これまでは各部署が取り扱う情報をまとめながらスプレッドシートで管理してきました。しかし、今後さらに組織が拡大し、従業員が増えていくことを考えると「手作業でミスなくSOを管理し続けるのは難しい」と感じ始めていたのです。上場の目処がクリアになったタイミングでの導入も考えましたが、我々としては少し早い段階でSOの実務コスト削減とミス防止のためにNstock導入を決めました。
また、偶然ですが、ちょうど人事・労務・法務の体制変更がありました。部署間での連携をどのように進めていくべきかと悩むところでしたが、いいタイミングでNstockを導入できたおかげで、各部署にある情報を一か所で管理できる体制を最初から作ることができました。今後、評価時期などを迎えたときに各部署との情報連携がしやすくなりましたね。
──LayerXさんは2025年9月に実施した資金調達とあわせてサービスを導入しています。このタイミングは「あえて」ですか?

石黒:スタートアップにとって資金調達は大きなイベントです。ですが、資金調達におけるディールブレイク(交渉段階で中止になること)を最小限に留まるために、限られた人数でクローズドに粛々と進める必要があります。その結果、せっかく資金調達ができても、従業員のみんなに自分ごと化してもらえないケースも少なくないのです。
当然ながら、LayerXにとっても資金調達は決して小さなイベントではありません。従業員のみんなにも主体的に捉えてほしいし、これからの原動力にしてほしかった。「SOの価値が上がった=LayerXはこんなにも期待されているのか」と感じてもらえるイベントにするために、Nstockの導入タイミングはこだわりました。
Nstock導入後、サービスに関する社内からの問い合わせはほぼなかった!
──Nstockに最も期待してくださっているのが「SO実務コストの削減」とのことでしたが、具体的にはどういったところにコストを感じていたのでしょうか?
小瀬川:Nstockを導入するまでは、スプレッドシートでSOを管理できていたものの「各従業員が合計でどれくらいのSOを保有しているのか」「失効した分はどれくらいあるのか」といった、個々の情報まで一元管理できていませんでした。そのため、従業員から「私は今、どれくらいのSOを持っているのでしょうか?」「あのときのSOは消えてしまったのでしょうか?」という基本的な質問に答えるために、まずは原簿にアクセスできる人にお願いして調べてもらう必要がありました。なかには、属人的に確認しないとわからないこともあり、SO実務のブラックボックス化を懸念していたのです。

Nstockを導入すれば、1つのシステム内にすべての情報を集約できるので従業員の質問にもすぐに答えられます。なにより、権利者である従業員が自分自身でSOを確認できるため、以前に比べて個別の問い合わせが減るのではないかと考えています。
──実際にNstockを導入してみていかがでしたか?
小瀬川:驚いたのは、Nstockを導入後、従業員からの問い合わせがなかったことです。
新しいシステムを導入したときは、少なからず社内から問い合わせが来るものです。Nstockに関しても導入した当初は従業員から「うまくログインできません」などの問い合わせが来るかもしれないと思っていたのですが、ほぼありませんでした。

とはいえ、まだNstockを使ってSOを付与していないので実務面での手応えはわからないのですが……、Nstockによってこれまで手作業で行っていた契約〜締結が楽になることは明らかです。その手応えが、今から楽しみですね。退職者対応についても、Nstockが基盤になってくれることで「どれくらいの個数があるのか」「行使のタイミングでやりとりしなければならないこと」をお互いに確認し合えるようになるので安心しています。
「ストックオプションを見ている前提」で話しかけてくれる従業員が増えた
──従業員の方々の反応はいかがでしたか?
石黒:LayerX自身も新しいチャレンジをしているスタートアップです。同じ挑戦者であるNstockのサービスを導入することは、全社的にも好感の声が大きかったですね。
ちょっと面白いなと思ったのが、Nstockを導入後、LayerXの従業員が私に対して「SOを見ている前提」で話しかけてくれる機会が増えたことです。
私はCHROという立場のためか、従業員から「私の給与(評価)を知っていますよね」という前提で相談を持ちかけられることがよくあります。Nstockを導入してからは「この間、自分のSOを見たんですけれど〜」と話しかけられることが増えました。「自分のSOをちゃんと見るきっかけになった」と話してくれた従業員もいましたね。

──弊社としても、その現象は初めて聞きました!ちなみに、LayerXさんはNstockが同席して行うSO説明会も実施する予定ですよね?
小瀬川:そうです。NstockによってSOの価値は可視化されたものの、「どのように現金化されるのか」など具体的なイメージを持てている従業員は多くありません。私もその一人です。LayerXでも社内に対して説明してきましたが、自社によるSOの説明には多少のバイアスがかかることもあります。そこへ“第三者”としてNstockが間に入ってSOについて説明してくれることで、従業員のみんなもフラットに受け止めやすくなると思っています。社内へのSOの理解浸透でもNstockを頼りにできるのは心強いですね。

ストックオプションのリテラシー向上が「従業員同士が応援し合えるツール」になることを期待
──LayerXさんの今後について伺いたいです。
石黒:以前、Stock Journalで福島(LayerX代表取締役CEO、福島良典さん)が話していましたが、LayerXでは2025年9月に実施した資金調達を機に、「SOプールを15%→20%へ引き上げ」といった大きな変更をしました。LayerXは非連続な成長を遂げるため、当社でご活躍いただきたい方の採用はもちろん、従業員のこれからの活躍に向けた利活用していきたいと思っています。
スタートアップというチャレンジングな環境にいるからこそ、SOが自分自身や一緒に頑張っている従業員同士が応援し合えるツールになるといいですよね。Nstockを通じてSOのリテラシーが高まり、そういった空気感が高まっていくことを期待しています。
──SOを通じて応援し合える空気を広げていくためにも、私たちも頑張ります!
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