「IPOに頼らない現金化」「業務委託を含む全スタッフに付与」CFCLがファッション業界で先進的な株式報酬制度を進める狙い

[課題]

  • 税制適格や有償、無償といったストックオプションが混在し、管理コストが高まっていた
  • 定期的な現金化イベントや退職時の持ち出しなど、実務における負担を軽減したかった

[会社データ]

社名

株式会社CFCL

設立

2020年2月

従業員数

約70名(2025年10月時点)

SO付与回数

5回(2026年1月現在)

「Clothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)」として、コンピュータープログラミングニットの技術を活用し、現代を生きる人々の道具としての衣服という視点でニットウエアを提案する株式会社CFCL(以下、CFCL)。同社では「店舗スタッフ、業務委託を含む全従業員を対象」に、ストックオプション(以下、SO)を付与しています。

同社のSO設計は、CFCLらしさを追求しつつ、社会実験的な意味が込められています。その背景と、株式報酬管理SaaS Nstock(以下、Nstock)の導入について、代表取締役副社⻑兼COOの松浦直彦さんとCFOの中山夏子さんに話を伺いました。

CFCLのストックオプションは「性善説をベースにした職場環境と事業成長を両立する」という社会実験

──まず、CFCLさんのSO設計の背景から伺いたいです。

松浦:私がCFCLに入社した2022年7月当時はまだ10名程度の組織規模で、評価制度もなく、昇進の基準が何なのかもわからない状態でした。とはいえ、今後の事業展開や組織拡大を考えると早い段階からそれらを整えておく必要がありました。

CFCL代表取締役副社⻑兼COOの松浦直彦さん

そこで、株式報酬制度を作ろうといろいろ調べてみたのですが、どれも複雑で運用が難しく……。ならば、私自身が慣れ親しんできた株式報酬制度をベースに“CFCLらしいもの”をゼロから作ろうと考えました。そして誕生したのが、現在のSO設計です。

[特徴]

  • 店舗スタッフを含む全従業員に付与(業務委託スタッフも対象)
  • 1年クリフ + 8年間のマンスリーベスティング(96分割)
  • 上場以外での現金化イベントあり(定期的な買い取りを実施)
  • 退職時の持ち出しOK、相続も可能
@CFCL Inc.

──松浦さんが慣れ親しんできた株式報酬制度とはどんなものだったのでしょうか?

松浦:私は新卒で米国系投資銀行で8年、その後はPEファンド業界で9年ほどキャリアを積んできました。投資先の株式報酬制度導入をサポートすることもあったので、基本的な知識は持っていたのです。

特に印象強かったのが、前職での経験でした。性善説を重んじる組織カルチャーで、こと細かくルールを作って管理をするのではなく、従業員が伸び伸びと事業成長を追求しながらコラボレーションできる環境があったのです。ここで私は、スタッフの人生を満たす環境が会社にとってどのような効果をもたらすのかを実感できました。

CFCLで報酬制度を整えるにあたって、性善説をベースにした職場環境と事業成長を両立できれば、ゆくゆくは広く伝播し、ファッション業界にも貢献できるのではと思いました。「CFCLで確たる実績を」ということで、今のSO設計に社会実験的なチャレンジも折り込みました。

ストックオプションを活用して「組織の概念を拡張したい」

──CFCLさんはSOの付与対象を正社員だけでなく、店舗スタッフや業務委託の方々を含む「全スタッフ」にしています。とても広い範囲を想定されていることに驚きました。

松浦:CFCLにとって一緒に働くスタッフや正社員は、雇用形態に違いはあれど、ともに企業価値を高めていく仲間です。そう考えると、付与対象を「経営幹部」「マネージャークラス」などに限定することは、CFCLにとっては合理的とは思えませんでした。

衣服を売る立場である店舗スタッフはもちろん、各部署の現場のスタッフも企業価値の向上に間違いなく貢献しています。また、スタッフの立場からすると、CFCLのようなスタートアップで働くより、大手ファッション企業で働くほうが報酬も生活も当然安定します。それでもCFCLでの挑戦を選んでくれました。そのリスクに見合う報酬を株式報酬で実現するのは、私にとってはフェアなことでした。

さらに社会実験として挑戦したかったのが、業務委託として関わってくれているエキスパートの方々をSOの適用範囲に含めて「組織の概念を拡張すること」です。私たちのような小規模なスタートアップは、さまざまな専門領域におけるエキスパートの方々の協力なしに事業は成立しません。しかし、業務委託スタッフは正社員ではないために、一般的には「社外の人」という言葉にまとめられてしまいがちです。そういったエキスパートの方々にもSOを付与して組織の壁をなくし、むしろ拡張することに挑みたいと思いました。

──SOで組織を“拡張する”というのは興味深いです!そして、CFCLさんのSOは上場以外での現金化イベントを設定されています。その意図は何でしょうか?

松浦:一般的なSO設計の多くが「上場時に在籍していることが前提」となっています。しかしながら、上場するかどうかは株主や経営者が決めることであり、現場で頑張ってくれるスタッフが関与できるものではありません。関与できないのに、自分の報酬の条件にされるのはフェアではないと思いました。そのため、上場以外の現金化の方法も導入することにしたのです。

また、CFCLで現金化イベントを複数設けたのは、これまでSOに馴染みがなかったスタッフにも、その価値を実感してもらいたいという側面もありました。理論上の知識だけで報酬内容を実感してもらうのは至難の業。それよりも身近な人が実際に現金を手にしたという体験はとてもパワフルです。具体的な仕組みとしては、毎年利益が出ている範囲で買い取り額を決め、時価があれば時価、ない場合は第三者機関からバリュエーション(株式評価額)をとったうえで現金化のオファーを全スタッフにしています。資金調達で得た資金の一部を活用することも可能にしており、株主や投資家の方々にも「いいですね」と応援してもらっています。

──CFOである中山さんは公認会計士でもあります。この考えを聞いたとき、どう感じましたか?

中山:私はこれまで多くの企業のSO設計を見てきました。ですが、なかには上場後に株価が下がり、SOの価値も下がってしまうケースもあり「スタッフに付与することに意味があるのか?」と感じることは少なくありませんでした。

CFCLのCFOである中山夏子さん

CFCLのSO設計を初めて聞いたときは、実務面において「大変な業務になるぞ」と思いました(笑)。ただ、それ以上に「他社とは全然違う面白いものが作れるんだ」「上場に関わらず、スタッフ一人ひとりの努力に報いるものにできる」とワクワクしました。CFCLでは新しいことに挑むための努力を惜しまないカルチャーがあります。SOにおいても、いいものにしていくために努力したいと思いました。

ストックオプションの「現金化イベント」で、人生の大事な瞬間を支える

──手応えはいかがですか?

松浦:リテール出身のスタッフがSOを現金化して喜んでくれたときは、本当に嬉しかったですね。CFCLの創業初期から頑張ってくれていた人だったので、その努力に報いることができました。ちなみに、そのスタッフは手にしたお金を使ってヨーロッパへ新婚旅行に出かけていました。ささやかながら、CFCLで一緒に頑張る仲間の、人生の大事な瞬間を支えられたのだと実感できました。

──努力に報いるだけでなく、人生の大事な瞬間の一部を支えられるというのはとてもいいですね。Nstock導入の経緯も伺いたいです。

松浦:CFCLではこれからも現場のスタッフを第一に考えたSO設計を追求していきたいと考えています。そのなかで懸念していたのは、実務面での対応でした。税制適格だけでなく有償や税制非適格といったSOも混在していたため、すべてを管理するハードルが上がっていたのです。そのタイミングでNstockを知り、問い合わせたことをきっかけに導入に至りました。

中山:もう少しくわしくお話しすると、CFCLのSO設計では「退職時の持ち出し可能」「マンスリーベスティング」「昇進時の追加付与」としているために、定期的に実務が発生します。最近では組織規模が70名近くになったこともあり、一人ひとりへの個別の説明も困難になってきました。現金化イベントでは退職者にもSOのオファーを出しているので……。実務面における負担を減らすための手段を検討していたところでしたね。

──実際に導入してみていかがでしたか?

中山:本格的な利用はこれからですが、事前にNstock側から契約書締結やSO付与プロセスの説明を受けて、すでに安心感がありました。なかでも、契約書の締結準備から保管まで同じシステム内で完結する点が魅力的です。今後は割当の契約書も全てシステム内で管理できるようになるので、とても期待しています!

ファッション業界でトップクラスの給与水準にしたい。そして…

──CFCLさんの今後についても教えてください!

松浦:CFCLでは現金報酬を「生活を支える報酬」、株式報酬を「夢をかなえる報酬」と位置づけています。この両方をうまくかけ合わせながら、ゆくゆくはファッション業界でトップクラスの給与水準にしたいと考えているのです。

また、CFCLには「いつか自分の店を持ちたい」というスタッフもいます。そのため、CFCLのスタッフには将来自分のお店を持てるくらいのSOを渡しています。彼らが頑張ってくれたお返しとして、その夢を叶えられるくらいにはSOの価値を実現したいですね。

──それは素敵ですね!

松浦:ありがとうございます。

SOを上手に活用することで、スタッフが一丸となり、企業価値向上に向けて、やりがいを持って働ける仕組みを実現できると思っています。今ではNstockのような存在が登場し、実務負担も軽減できるようになりました。SOをうまく活用する企業が増え、日本がもっと活気ある国になっていくといいなと思っています。ファッション業界においては、CFCLが先駆者になれるよう、これからも頑張っていくつもりです。

──CFCLさんによる良い影響をさらに大きくするために、Nstockも頑張ります。本日はありがとうございました!

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