「在籍する従業員に報いるものだから」SecureNaviがSO設計で“ユーザーフレンドリー”をこだわり抜いた理由

[会社データ]
社名 | SecureNavi株式会社 |
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設立 | 2020年1月 |
従業員数 | 85名(2025年2月現在) |
SO発行回数 | 1回 |
ISMSやPマーク構築・運用を効率化するクラウドサービス「SecureNavi」を提供するSecureNavi株式会社(以下、SecureNavi)。同社では2024年12月からストックオプション(以下、SO)を導入しました。
同社のSO設計について話を聞くと「採用目的ではなく、あくまでも在籍する従業員の活躍に対して還元するもの」と、代表である井崎友博さんは話します。その信念を軸に設計されたSOはどのような内容になったのでしょうか?「株式報酬SaaS Nstock(以下、Nstock)」の活用方法とともに、くわしく話を伺いました。
「SecureNaviのSOは“採用の武器にしない”」と決めた真意
──SOを採用の武器にするスタートアップは多いです。しかし、御社では現段階において「それはしない」と伺っています。その結論に至った経緯は何だったのでしょうか?
井崎:SOを導入する前から「今働いている従業員を大切にする」というポリシーがありました。SO設計においても、弊社が当初から大事にしてきたポリシーをそのまま落とし込み、日々地道に頑張ってくれている従業員のみんなに報いるものにすることが大事だと考えました。

もちろん、スタートアップとして組織拡大を進めるなかで、採用の重要性は理解しています。SOを採用の武器にすることに対しても、何の異論もありませんしむしろ賛成です。ただ、優秀な人材がほしいあまりに華麗な経歴ばかりに目がいってしまったり、逆に採用候補者もSOなどの条件のみに注目したりなど、“見えやすいもの”に振り回されてしまうこともあります。我々としては、「情報セキュリティ分野において起こるべきではない悲報をなくす」という世界観を目指し、ともに頑張ってくれる人を求めたい。そこで、現時点ではあえてサインアップボーナスのようなかたちでSO付与をしないことにしました。
我々が目指す世界観は簡単に実現できるものではありません。ですが、SecureNaviで働く従業員たちは一生懸命に頑張ってくれている。彼らの頑張りに対して、しっかり報いるべきなんですよね。そんな「今働いている従業員を大切にする」というカルチャーはSecureNaviの強みとなり、うれしいことに離職率も業界平均から見てとても低い状態です。
SecureNaviの“ユーザーフレンドリー”なSO設計のポイントは?
──SOの導入はいつごろから検討していたのでしょうか?
井崎:SO導入は2021年の創業時から考えていました。ただ、資金調達などもあり、限られたリソースの中でやるべきことを考えた結果、SO導入に適したタイミングを見計らっていたのです。シリーズBまでの間となる2024年6月頃から本格的な検討をスタートさせ、7月から11月にかけて設計と手続きを進めました。
──SOの設計内容を教えてください。
井崎:なるべくわかりやすい設計にするように心がけました。盛り込みたい内容が多ければ多いほど、SOの設計内容は複雑になります。しかし、それでは従業員たちにSOの価値が伝わりづらくなってしまいます。従業員たちを大切にしたいからSOを導入したのに、その価値がわかりづらいものでは本末転倒です。そこで意識したのが「SOをできるかぎりユーザーフレンドリーにしよう」という点でした。

──なんだかサービスづくりみたいです(笑)。
井崎:そのとおりです!わかりやすい設計=ユーザーフレンドリーと考え、SO設計を考える側の意図を押し付けるのではなく、従業員にとってわかりやすいものを目指しました。
具体的には、SOは年間1.5%を目安に付与していきます。ただし、役割と活躍度に連動させず、企業の成長を従業員たちと純粋に分かち合えるかたちにしました。
──役割や活躍度と連動させないということは、評価制度とは連動していないということですよね。そのようにした理由は何だったのでしょうか?
井崎:SecureNaviでは、創業時より仕事の成果に対する還元はSOを加味せずに給与で行うという考え方を大切にしています。そのため、従業員の役割や活躍度に対しては、給与ですでに報いることができていると考えています。
そもそも評価はとても難しいものです。ある瞬間では評価が高くない従業員が、翌年以降に急成長して活躍することもじゅうぶんにあり得ます。また、評価する側であるマネージャーや経営陣も全知全能ではありません。当然ながら多方面を考慮したうえで評価をするようにしていますが、「絶対に正しい評価」はかなり難しいと感じています。評価に関わらず、会社に貢献してくれている従業員に報いたい。そのためにSOを活用したいと思っています。
過去の経験から、紙ベースでの契約書管理は絶対に避けたかった
──Nstockを導入する前に、SO実務で感じていた課題などはありましたか?
井崎:私は以前、別のスタートアップで従業員として働いていました。当時はSOを付与してもらっていたのですが、紙ベースのやりとりだったため、どこに何が記載されているのかがわからず混乱しましたし、SOの価値もよく理解できませんでした。同じ思いを従業員にさせたくなかったんですよね。そこで、当初からデータベース上でSOを管理できる仕組みを検討していました。

──Nstock導入の決め手は何でしたか?
井崎:SecureNaviのSO設計でも重視していた「ユーザーフレンドリー」を、Nstockなら実現できると感じたからです。データベースでSOを管理できるだけでなく、事務局側がSOを管理してくための機能も非常にわかりやすくて「これこそ、私の求めているものだ!」となりました。
SOについて、従業員が最も知りたいのは「自分が持っているSOの価値」です。Nstockには権利者向けマイページがあり、従業員それぞれが自由に想定キャピタルゲインを確認できます。この機能はサービス導入前に見させてもらったのですが、「ユーザーのニーズをしっかり考えたうえで作られているんだな」と思いました。
なにより、我々SecureNaviもSaaSを開発・運用しているスタートアップです。作り手がどれだけ熱量を込めていても、複雑すぎてはユーザーに使ってもらえない事実は痛いほどわかっています。そういった視点からも、Nstockのサービスには好感を持てましたね。
SOのオペレーションにも不安があったのですが、Nstockのマニュアルを見たり、CSにサポートしてもらったおかげでその課題もクリアできました。
初めてのSO付与だったがNstockによって担当者1名ですべての実務をこなせた
──そして、SecureNaviさんでは初回のSO付与が完了しました。その際、Nstockを使ってみていかがでしたか?
井崎:SecureNaviにはSO実務経験者がおらず、今回が初めてのSO付与だったため比較対象がないのですが想像以上にスムーズに進められたことに驚きました。きっと、見えないところで細かな作業も完了してくれたのだろうと想像できたくらいです。おかげで、すべての実務を事務局一人で進められました。
特に、契約書を一括で作成できる機能には助けられました。手作業で契約書を作成していたら、時間がかかるうえに人的ミスも起こりやすい。Nstockを活用したことで、安全かつ効率的に作成できました。契約書を配布する際にミスがあったため急遽差し替えが必要だったのですが、NstockのCSがフォローしてくれたおかげで事なきを得ました。導入後も、フォローしてくれる仕組みがあるのはありがたいですね。

──従業員のみなさんの反応は?
井崎:実は権利者マイページで想定キャピタルゲインを公開した直後、社内Slackが一瞬シーンとなってしまいまして……。
──えっ!
井崎:我々経営陣としても少し戸惑っていたのですが、あとから話を聞いてみると「(いい意味で)リアルな数字がわかって驚いていた」とわかり、ホッとしたあまり笑ってしまいました(笑)。そのほか、「改めて、会社を成長させるために自分も頑張りたいと思った」という声が多く、SOの価値がしっかり届いたのだとわかってうれしかったですね。

非上場でも売却できるようになれば、従業員にとってSOはより身近なものになるはず
──今後のNstockに期待したいことはありますか?
井崎:今回、SecureNaviでSOを発行してみて、「SOの価値を従業員と共有できること」の大切さを肌で感じました。「SOの価値が従業員に伝わらない」という課題を抱えるスタートアップはまだ多いと思いますが、Nstockのサービスで可視化することで、企業成長を従業員と喜びあえるようにしてもらいたいです。
また、Nstockではセカンダリー事業も準備していますよね?その可能性にも、とても期待しています。
非上場でも売却できるようになれば、従業員にとってSOの価値が高まるだけでなく、より身近なものになると思っているんです。SOをインセンティブとして機能させ、企業と従業員の絆を深めるものにしてもらうためにも、Nstockのこれからの進化を楽しみにしています!
──期待に応えられるよう、頑張ります。本日はありがとうございました!
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